外貨の整理
いろんな国に行くと、それぞれの国の歴史や風土、文化や偉人にちなんだ特徴ある図案の紙幣や硬貨が楽しみの一つ。
ただ、帰国後の整理に悩んでいた。
そこで思い出したのが、以前東急ハンズで見かけたこのノート。
「草原ミツバチノート」
あちこち飛んでせっせと蜜を集めるミツバチのような収集を叶える、窓つき封筒ノート。その時は何に使うんだと思っていたけれど、これ以上ない商品じゃないか。
台湾
香港
ブータン
モンゴル
そして、万が一のための米ドル。
台湾や香港はICカードが普及しているので、これも入れておく。これで、次に同じ国を訪れるときに無駄な両替をせずに済むし、タイミングによっては当時の方がレートが良かったりするかもしれない(その逆もあり得るけれど)。
二度と訪れることはない国もあるかもしれないけれど、記念としてそのまま外貨アルバムにもなる。
次の旅の予定は、西安。中国元はチベットから同じ貨幣だし、年末年始のトルファン(ウィグル自治区)も同じ。2016年は貨幣的には中国元に始まり、中国元に終わるようだ。
秋のひとかけ
久しぶりに秋らしい爽やかな快晴。
風は涼しいものの、まだまだ日差しは暑いので、避暑と運動不足を解消するために奈良南部の大峰山麓の町、洞川に行ってきた。
役行者所縁の地で、今も初夏から秋にかけては修行の山伏で賑わう。
真言宗醍醐派本山竜泉寺。修験の寺で、時折法螺貝の音が聞こえてくる。
町を囲む山々の中腹を歩く遊歩道が通っていて、一周約4キロのちょっとしたハイキングが出来る。
山際にはいくつか鍾乳洞があって、中に入ることができる。
洞窟の中は常に7℃くらい保たれているそうで、外の暑さが嘘のようにひんやりしている。吐く息も白い。
内部はライトアップされ、人の姿や風景に見立てた銘がつけられている。
町の中心には渓流が通り、周囲にはキャンプや水遊びのグループが。悲鳴が上がるほど冷たい水に歩き疲れた足を浸したら、驚くほどスッキリ軽くなった。
標高約900mのこの土地では、一足早く秋がきている。
西へ西へ
午後半休を取得して、「始皇帝と大兵馬俑展」に行ってきた。いま、空前の西安ブームなのだ。私のなかで。
会場の国立国際美術館は職場から徒歩圏内。雨上がりの中之島を、川風に吹かれながら歩くのは気持ちいい。同じように件の美術館に向かうらしき年配夫婦がちらほら歩いている。
平日だというのに結構な混雑で、これが土日祝日だったらどうなっていたのだろうとそら恐ろしい。金曜日は19時(入場は18時半)まで開いているそうなので、その辺りが狙い目かもしれない。
兵馬俑は圧巻で、結った髪の筋や靴底の紋などディテールまで表現されていたことに驚く。現地ではこれが無数に、まさに大軍勢として地中にあったという。
兵馬俑の「俑」というのは、副葬品とする焼き物のことなんだそう。日本の埴輪のように、兵馬のみならず、侍女や竈など、ままごと道具のような俑もある。現世のものの一切を死後の世界にも持っていこうとしていたのだ。
兵馬俑関連だけでなく、始皇帝の偉業として度量衡や貨幣の統一に触れており、また周辺各国を支配下におき統一国家を造り上げた結果、多様な文化や意匠が混ざりあった痕跡などが紹介されている。
終わりに、レプリカの写真を撮れるコーナーもあった。兵士たちと記念撮影ができる。
そして、少年期の始皇帝が友と共に全土を統一していく物語『キングダム』のパネルも。
去年チベットに行く際、青海鉄道の20時間を電子書籍で持っていった『キングダム』を読んで過ごした。
当時はこんなところに繋がるとは思っても見なかったけど、そんな訳で次は兵馬俑を見に西安に行こうと思う。
来月あたり。
歴史の横道
夏期休暇明けに月末月初というハードな一週間を終えて、紀伊半島奥地の温泉地までドライブ。
奈良県南部の五條市の本陣から国道168号線をひたすら南下。途中、南北朝時代に南朝方の皇居が置かれた賀名生(あのう)を通り、道の駅 吉野路大塔の向かいにある郷土館でランチ。
大塔は、後醍醐天皇の皇子大塔宮護良親王が立ち寄ったとされ、その名に因んだ地名。後に、幕末には維新を志す天誅組の本陣が五條からまさにこの屋敷に移され、十津川郷士の力を借りるも幕府に敗れたという歴史を持つ所。
護良親王
今では、郷土料理が食べられる古民家カフェと言ったところ。座敷の縁側でゆるい風に吹かれつつ、名物の高菜で包んだめはり寿司が美味しかった。
国道を更に南下して、十津川村に入る。
ちょうど、東日本大震災の年に起きた、紀伊半島豪雨災害の慰霊祭が行われていた。沿線の山肌には大規模な土砂崩れの跡を覆った擁壁も見られ、道路沿いには新たな崩落を工事していたりする。険しい土地だ。
その代わりと言うべきか、良泉に恵まれている。
関西では珍しい硫黄泉の源泉掛け流しの温泉が、村の公衆浴場を含め大小あちこちにある。温度が50℃以上と高く、入浴の際には自分で水を足して温度を下げないといけない。
それでも効能は高く、湯上がりには大量の汗をかき、そのあとは驚くほど身体が軽くなる。
辿り着くのは大変だけれど、その価値のある秘湯だ。
村の中心部にあたる役場横の道の駅では、北海道の新十津川町で作られた名産のメロンアイスクリームが売られていた。新十津川は、明治時代に起きた十津川の大規模で家や土地を流された人たちが新天地を求めて開拓した町で、今でもルーツであるこの十津川村と交流が続けられているのだとか。
メロンの風味が濃厚で、美味しいアイスバーだった。
ちなみに、この道の駅 十津川郷には源泉掛け流しの足湯もあり、ドライバーやライダーの旅の疲れを一時癒す憩いの場となっている。
この十津川温泉への道のりはまた、歴史の大きな流れの立役者のすぐ傍らにあった人々に想いを馳せ、遡るルートになっている。