盛夏の色彩
庭の唐辛子がよく生るので、収穫して乾燥させている。昨晩大雨が降ったというのに、今日は朝から打って変わった快晴、いや猛暑。何かを干すにはこの上ない。
唐辛子は、そもそも栽培が簡単なのか、あるいはうちの環境が合っていたのか、何もてをかけていないというのに豊作で驚いている。今日の収穫もシーズン二度目で、前回はもっと沢山採れた。この先一年間で使うには充分な量だ。
夏の庭の緑に映える、この鮮やかな強い赤色が好きだ。
一昨年の冬休みに訪れたブータンは、料理に唐辛子を多用する国だった。辛いものを食べるイメージを持っていなかったので驚いたが、現地では唐辛子の種類も多く料理ごとに使い分け、そして特に夏に出回る生の唐辛子を楽しみにしているんだと聞いた。
ヒマラヤの小国で標高も高く寒い国かと思ってたけれど、実際は緯度が低い(日本の奄美大島くらい)ので暑い国らしい。真冬でも雪が積もることは滅多にないそうだ。辛い食べ物で暑気払いしつつ、お米をたくさん食べる食文化なのだとか。
日本でも生の唐辛子にお目にかかる機会は滅多になかったけれど、この夏せっかくだからと使ってみたら、風味や香りとかよりとにかくものすごく辛かった。つまりブータンの人たちは、夏に味わえる更なる辛さを待ちわびていたようだ。
自らの地を「ドゥルク・ユル(龍の国)」と呼び、仏と王家を尊崇する民。
民族衣装に身を包んだ伝統的な姿のまま、先端のガジェットを手に英語と母語のゾンカ語を自在に操る不思議な国だった。